今から170数年前の文政元年12月、奈良の竜門郷15ヶ村の百姓が、長年の代官の苛酷な年貢の取立てに怒りを募らせ、「竜門騒動」と称される農民一揆を起こしました。
各々、蓑笠をつけ、竹槍、鍬などを手に平尾村代官・浜島清兵衛を襲い、これを討ち、さらに役所を破壊するなどしました。
その結果、三百人以上の人々が奈良奉行所に捕らえられ、多くの処刑者を出しました。
歌の中に出てくる又兵衛は西谷村細峠の百姓で、この一揆の中心的な役割を果たした人物です。
後世、里人たちが又兵衛を偲び、厳しい監視と抑圧の中で、このような手まり歌の中にその意を託し、子供たちに遊ばせ歌い継がせました。  (解説:五線譜に生きる大和のうた)

はじめてこの曲を資料の中で知った時、シンプルでありながら力強いメロディー、20番まで刻々と突き進んでいく一揆のリアルな内容、そしてその忘れがたい史実を抑圧から逃れるように子供の歌の中で子孫に伝えていこうとした人々の心情が、深く心に迫りました。
できれば、わらべ歌の感じを残しつつアレンジしたいと思い、演奏をLA萌MIEのメンバーにお願いしましたら好評を得、竹田の子守唄とともに、フランス演奏旅行での常連曲となりました。